スーツの裏地(総裏・背抜き・半裏)の違いとは?オーダー前に知っておきたい選び方

スーツの基本と選び方

オーダースーツで「裏地の張り方はどうしますか?」と聞かれたら?

オーダースーツ店でスーツを仕立てる際、採寸やデザインを決める工程で「裏地の張り方はどうしますか?」と聞かれることがあります。

「裏地の張り方? そんな選択肢があるの?」と驚く方は少なくありません。

実はスーツの裏地には総裏・背抜き・半裏という代表的な種類があり、それぞれ着心地や用途が異なります。知らずに選ぶと「夏に暑すぎた」「思ったより通気性がなかった」といったミスマッチが起きることも。

この記事では、代表的な3種類の違いをできるだけ分かりやすく解説します。オーダースーツを初めて作る方も、この記事を読めばスムーズに選べるようになります。


そもそも裏地とは?

(UnsplashJabber Visualsが撮影した素材)

裏地とは、ジャケットの内側についている生地のことです(英語でLining=ライニング)。

ジャケットを脱いで内側を見たとき、表の生地とは別の生地が張られているのが裏地です。普段は外から見えない部分ですが、着心地・快適性・耐久性に大きく関わる重要なパーツです。

既製スーツの場合、裏地の仕様は決まっていますが、オーダースーツでは自分で選べるのが大きなメリットのひとつです。


代表的な3種類の裏地、何が違う?

裏地の張り方には細かく分けるとさまざまな仕様がありますが、オーダースーツ店で主に選択肢として提示されるのは以下の3種類です。

一目で分かる比較表

総裏背抜き半裏
裏地の範囲内側全面上半分のみ肩甲骨付近のみ
通気性
耐久性
おすすめシーズン秋冬春(3シーズン)春夏秋(3シーズン)夏・盛夏
重さ・軽さやや重め普通軽い

①総裏(そううら)

ジャケット内側の全面に裏地を張った仕様です。「フルライニング」と呼ばれることもあります。

最もスタンダードな仕様で、多くの既製スーツもこの総裏仕様です。裏地が全体を覆うため、汗が表地に染みにくいというメリットがあります。また生地を内側からしっかり保護するため、耐久性が高く長持ちしやすいのも特徴です。

総裏がおすすめな方

  • 秋冬春用・3シーズン用のスーツを仕立てたい
  • 汗をかきやすい
  • スーツを長く使いたい
  • 仕立て上がりのシルエットをきれいに見せたい

②背抜き(せぬき)

ジャケット内側の上半分のみに裏地を張った仕様です。「ハーフライニング」とも呼ばれます。

背中の下半分に裏地がない分、総裏より通気性が高く蒸れにくいのが最大の特徴です。春夏秋の3シーズンで活躍する、バランスの良い仕様です。

日本のオーダースーツ店でも人気が高い仕様です。暑がりの方は冬物のスーツでも背抜きを選ばれることがあります。

背抜きがおすすめな方

  • 春夏秋・3シーズン用のスーツを仕立てたい
  • 暑がりで、冬でも通気性を重視したい
  • 総裏より涼しく、でも半裏ほど割り切らなくていい

③半裏(はんうら)

肩甲骨付近のみに裏地を張った仕様です。「クォーターライニング」とも呼ばれます。

3種類の中で最も裏地の面積が少なく、軽量で通気性が最も高い仕様です。盛夏(7〜8月)の暑い時期でも快適に着られるスーツを作りたい方に向いています。

肩パッドなしのジャケットと組み合わせると、非常に軽やかな着心地になります。ただし、裏地が少ない分、表地へのダメージが出やすいため、こまめなケアが必要です。

半裏がおすすめな方

  • 夏・盛夏用のスーツを仕立てたい
  • とにかく涼しく軽い着心地を求めている
  • 肩パッドなしのナチュラルショルダーが好き

裏地の素材も重要:キュプラとは?

裏地には素材の違いもあります。主な素材はポリエステル・レーヨン・キュプラの3種類ですが、その中でも特におすすめなのがキュプラです。

キュプラはコットンの種子の産毛を原料にした素材で、以下の特徴があります。

  • 手触りが滑らかで肌触りが良い
  • 摩擦に強く耐久性がある
  • 見た目の高級感がある
  • しわになりにくい

シルクの代替素材として生まれたレーヨンの弱点(摩擦に弱い)を克服した素材で、高級スーツの裏地として広く使われています。オーダースーツで裏地素材を選べる場合は、キュプラを選ぶことをおすすめします。


迷ったらどれを選べばいい?

シンプルな目安として覚えておいてください。

  • 秋冬春に着るスーツ → 総裏
  • 春〜秋の3シーズン使いたい(暑がりなら冬も) → 背抜き
  • 夏専用・とにかく涼しく → 半裏

初めてオーダースーツを作る方で、1年を通じて着たいという場合は背抜きが最もバランスが取れていておすすめです。


まとめ

スーツの裏地には総裏・背抜き・半裏の代表的な3種類があり、通気性・耐久性・使用するシーズンによって選び方が変わります。

仕様一言まとめ
総裏秋冬春向け。丈夫で長持ち
背抜き春夏秋向け。暑がりは冬も◎
半裏夏向け。軽くて涼しい

オーダースーツ店で「裏地の張り方はどうしますか?」と聞かれたとき、この記事が選ぶ際の参考になれば嬉しいです。


筆者:オーダースーツ業界でスタイリスト・店長として7年のキャリアを持つ筆者が、現場での経験をもとに解説しています。

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