礼服って何?結婚式と葬式で同じ黒スーツで大丈夫?

初心者の疑問・お悩み相談室

今回は礼服についてです。

礼服とは冠婚葬祭の際に着用するフォーマルなスーツの総称です。

その中でも今回は「略礼服」や「喪服」と呼ばれる冠婚葬祭用の黒いスーツにフォーカスを当てます。

私自身、スーツに関わる仕事を始める前まではお葬式には黒いスーツであればOKくらいの認識でした。

正しい知識を持って“場にふさわしい装い”を選ぶことが出来る大人のマナーを身につけましょう。

はじめに

「礼服って結婚式にも葬式にも使えるって聞いたけど、本当にそれでいいの?」
そんな疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、日本おける礼服文化、そしてビジネスシーンで着ていいのかまで分かりやすく解説します。

日本の礼服文化の成り立ち

戦後の日本では「冠婚葬祭すべてに対応できる黒いスーツ=礼服」という考え方が広まりました。
これは「ネクタイを変えるだけで結婚式にも葬式にも使える」という合理性重視の発想から生まれたもので、現在も量販店では「漆黒・ノーベント・ウール素材」の礼服が販売されています。

結婚式と葬式で同じ礼服は着てもいいのか?

結論、「全く問題なし」ですが、正しくアレンジすることが前提です。

  • 結婚式では、白やシルバーのネクタイ、ポケットチーフで華やかさを演出
  • 葬式では、黒ネクタイ・控えめな小物で厳粛さを保つ

間違えて逆の組み合わせで行くことがない様に気をつけましょう。

*礼服の参考画像です。左は「慶事」向けのコーディネート。右は「弔事」向けのコーディネートです。

ただ、最近は結婚式に出席する際は礼服にこだわらず、派手でなければお気に入りのスーツを着て臨むのが主流です。なので、礼服を着るシーンは葬儀や法事のシーンに限定されつつあるのが近年の実情です。

私も、お祝いの気持ちがあれば節度を持っておしゃれを楽しんでいいと考えています。

過去に結婚式で着るスーツをテーマに記事を書いておりますのでこちらも参照下さい。

【結婚式】シンプルなスーツでも差がつく|“きちんと着こなす”ための4つのコツ | こっそりスーツ勉強会

結婚式に着ていくスーツ、どこまでOK? | こっそりスーツ勉強会

ビジネスシーンで礼服を着てもいいの?

礼服はフォーマルな場にふさわしい装いですが、日常のビジネスシーンには適していません。その理由は以下の通りです。

① 黒の濃さが異なる

礼服は“漆黒”と呼ばれる深い黒。ビジネススーツの黒はややグレーがかっていて、並べると違いがはっきり分かります。礼服を職場で着ていると「お葬式帰り?」と誤解されることも。

逆に葬儀の際に礼服ではないビジネス向けのブラックを着てしまうと、黒さの違いから場に浮いてしまう事もあります。

② デザインが堅すぎる

実は礼服はビジネススーツと細かなデザインが違います。

例えば、背面の裾の切れ込みは入らない「ノーベント」と呼ばれる仕様が礼服にはふさわしいです。

ですが、「ノーベント」は普段使いのスーツには少し堅すぎるデザインです、

*礼服を背面からとった写真です。礼服には「ベント」と呼ばれる裾の切れ込みは入らない仕様がフォーマルでふさわしいと言われます。

*通常のスーツにはこの様に切れ込みが入っています。写真の様に横に切れ込みが入っている状態を「サイドベンツ」、真ん中に1本切れ込みが入っている状態を「センターベント」といいます。

③ 光沢がない・重厚すぎる印象

礼服は光沢を抑えた生地で厳粛な印象を与えます。ビジネスの場では、少しツヤ感のある素材の方が清潔感や信頼感を演出しやすいです。

💡礼服は「特別な場のための一着」。日常使いすると、逆に場にそぐわない印象を与えてしまいます。

まとめ

礼服はただの黒いスーツではなく、場への敬意を表すフォーマルウェアです。
本来は慶事と弔事で装いを分けるべきですが、日本では兼用スタイルが定着しています。
それでも、TPOに応じたアレンジや使い分けを意識することで、より洗練された印象を与えることができます。
そして、礼服はビジネスには不向き。“礼”を尽くすべき場にこそふさわしい一着として、大切に使いましょう。

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